加齢黄斑変性
加齢黄斑変性は、「黄斑」が加齢のために変性して、視力低下をきたす病気です。
黄斑は網膜の中心に位置しており、視野の中心を担う場所ですので、黄斑が変性するこの病気では、見たいところが見えなくなったり、歪んで見えたりします。さらに治療をせずに放置した場合、中心視力は失われてしまいます。また、出血の原因にもなり、出血量が多い場合には失明のリスクもあります。
治療
加齢黄斑変性には、萎縮型と滲出型の2つのタイプが存在し、治療の対象となるのは浸出型です。浸出型は脈絡膜新生血管板や脈絡膜血管ポリープなどの血管異常により黄斑部が障害されます。主な治療は抗VEGF抗体の硝子体注射です。「VEGF」は血管内皮増殖因子という蛋白のことで、脈絡膜新生血管や脈絡膜血管ポリープの形成において主要な役割を持ちます。その蛋白に対する抗体、つまり抗VEGF抗体を使用することで蛋白の作用を抑え、これらの血管異常を縮小させます。
注射以外には、光線力学療法があります。当クリニックでは導入しておりませんが、注射と光線力学療法を併せて行うことで良好な経過を得られたというデータもございます。
光線力学療法をご希望する場合には、当治療を行っている施設を紹介させていただきます。
合併症(黄斑下出血)
加齢黄斑変性の重大な合併症として黄斑下出血があります。出血量が多い場合には出血した範囲の網膜の機能が著しく障害されることになります。
治療は手術になります。黄斑の下の出血は約7~10日で視細胞を障害するといわれており、手術はできるだけ早く行うことが推奨されています。
手術は黄斑の下の出血をできるだけ黄斑以外の場所に移動させる、血種移動術といわれるものです。当クリニックでも行っている手術ですのでご相談ください。